食品表示

難解・原料原産地表示制度を表示例と一緒に(悩むレア表示)

2022年4月1日から表示義務化した原料原産地表示制度。

準備のために1年くらい前から気を付けて表示をしてきましたが、
如何せん新しい制度だもんだから、
「こういう場合はどうするの?」が尽きません。

今回は原料原産地表示制度で、
えっとこれの根拠はどこだったかなと迷った表示のソース整理を兼ねています。

この記事を読むと、

  • 原料原産地表示制度概略
  • 原料原産地表示制度で実際に困った箇所
  • 原料原産地表示制度で困った際に参照すべき資料

が分かるようになっています。

YES!実務目線!
それではいってみよー!

原料原産地表示制度を分かりやすくざっくりと

原料原産地表示制度とは、
読んで字のごとく『原料』の原産地を『表示する』制度です。

原料原産地表示制度により2022年4月1日から、
日本国内で製造販売する全ての加工品を対象とし、
第1位の原材料について(同率の場合は複数)原産地の明記を義務付けています。

あれ?これって原産地表示表示なくない?
って思うことあれば、下記も読んでみてください。

原料原産地表示がない?原料原産地表示がなくてもOKな加工品がある2022年4月から表示義務化した原料原産地表示。 ところが、不慣れな事務員さんによく聞かれることがあって。 20...

さて、
原料原産地表示制度の細かいものは別の記事で上げるとして。

こんな表示見たことないですか?

  • 小麦粉(国内製造)
  • 小麦粉(小麦(北海道産))
  • 小麦粉(小麦(国産、アメリカ産))
  • 小麦粉(小麦(国産又はアメリカ産))
小麦粉だったら、ほとんど小麦粉(国内製造)で片づけられてるけどね!

小麦粉を例にとってもこれだけ種類があるという。
例なので、厳密にいえばもっと表示法はあります。

これ、消費者意見として「で?産地結局どこなの?」と言われているのが実情なのですが、
あくまで国内で最終衛生状態が決まった小麦粉を使用しているのであって、
「国産小麦を使用しているとは言っていない」というものなんですよね。

原料に自信があるところは、小麦粉(小麦(北海道産))とかハッキリ表示することが多いので、国内製造と書かれている場合はまぁ…お察しですよね…。

本制度を大きな視点でまとめると下記の通り。

  • 一番多く含まれる原料について表示する
  • 一番多く使っているものが加工品ならば(○○製造)と表示する
  • 一番多く使っているものが生鮮食品ならば(○○産)と表示する
  • 原材料名(添加物名含む)の下に「原料原産地」の事項目を設けて表示するのもOK
  • 旧来から原料原産地表示がされていた20品目については、旧来ルールを優先
  • 原料原産地が1か所に決めかねる時は、ケースバイケースで「又は」表示が使える
    ※ただし利用方法に細かい取り決めあり

こんなところですかね。

原料原産地制度の基本ルールを定めた消費者庁資料も、
超大作なので、細かいルールはルールごとに1記事できるレベルなので追って。

ドレッシング系の原料原産地表示は結構イレギュラーを引く

とことん現場主義なので、
現物の驚き表示を見つけ次第触れるスタイル。

今回触れる表示はコレ。

パッと見、え?原料原産地表示どこってなりません?

この表示、原料原産地制度はココ。

この表示はよく表示ルールを知ってる人じゃないと適切な表示作れないだろうなと、
何個も例外規定が盛り込まれたかなり高度な表示になっています。

何といっても、
原料原産地表示が1番目の原材料に来ていない点の説明は複雑です。

原料原産地表示が1番に来ない、なぜ?

食品表示基準第三条の1節に、下記の規定があり、

2 1の規定にかかわらず、次に掲げる場合にあっては、それぞれに定めるところにより表示することができる。
一 同種の原材料を複数種類使用する場合 原材料に占める重量の割合の高い順に表示した「野菜」、「食肉」、「魚介類」などの原材料の総称を表す一般的な名称の次に括弧を付して、それぞれの原材料に占める割合の高いものから順にその最も一般的な名称をもって表示する。

(引用:食品表示基準

簡単に言うと、
野菜や果物というカテゴリーの原材料を複数使用している場合、
野菜(トマト、ピーマン、ニンジン)みたいに一つのグループで表示できるというもの。

表示順上、グループの合計と他の原材料の重量比で表示順を決めるので、
数の力でグループ表示は上位に表示されやすいわけです。

ただし、原料原産地表示は、個々の原材料で1位の重量のものに表示するので、
ソースの例でいうと、

トマト<ぶどう糖果糖液糖

だったので、
野菜・果物チームの表示が終わってから原料原産地表示対象のぶどう糖果糖液糖が出てきたタイミングで原料原産地表示がなされたということですね。

加工品のカッコ書き内で原料原産地表示、生鮮まで遡らない?

普段加工品の表示を触るものとしては、
下記ルールの方が目についてしまい、()内に(○○製造)とつくことに違和感を覚えるのですが…

(原原-45)何段階かの製造工程を経て製造された中間加工原材料については、
どの段階の製造地を表示するのですか。
(答)
原料原産地表示の対象の原材料が中間加工原材料の場合は、当該中間加工原材
料の製造地又は生鮮原材料まで遡った原産地を表示することとし、それ以外の任
意の段階での製造地表示は、原料原産地表示とは認められません。

(引用:別添 新たな原料原産地制度

この表示例として、
つぶあん(A国製造)○
つぶあん(砂糖(国内製造)、小豆、水飴、その他)×
と明確に書いてあるものだから。

()内って生鮮まで遡るの必須だという印象だったんですが。

結構ドレッシング類や総菜類の例で、
今回のようにグループ表示内の加工品について製造地表示されている例に良く出くわすので、()内は生鮮まで遡るルールを覆す根拠って何だろうって、
ずっと悩んでたんですよね。

ようやく見つけて。

(原原-12)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の3の規定に基づき、
原材料を「植物油」、「でん粉」等と括って表示している場合、原材料の原産地
はどのように考えればよいですか。
(答)
1 当該規定に基づき複数の原材料を括って表示している場合は、適正に表示され
た原材料名表示(「植物油」、「でん粉」等)に対応させて、当該原産地(製造地)
を表示してください。
2 その場合、括った元となる複数の原材料の原産地(製造地)については、括っ
て表示をしている原材料(「植物油」、「でん粉」等)に占める重量の割合の高い
ものから順に表示してください。

(引用:別添 新たな原料原産地制度

当該原産地(製造地)を表示してください。

製造地について言及あるのこれだけで。
ようやく!ようやく見つけた!

条文で分かりづらいのですが、
要するに加工品グループで括った中でも、
原料原産地表示対象のものについては製造地を記載せよという。

はー!スッキリ!

表示チェックはその表示がOKな根拠を探す作業

食品表示基準はとても複雑で、
分かり辛すぎて、百科事典かな?っていうレベルの分厚いQ&Aが用意されているのだけど。

最終的な食品表示のいいの悪いのって決められるの、
保健所や農政局、消費者庁にしかできないんですよね。

だったら、目の前の食品表示について、
消費者庁が「いいよ」と言っている根拠を集めるのが表示チェック者の務めだと思っています。

今回の表示例は、
何重にもイレギュラーが折り重なった結果ではあるのだけど、
どうしてこの記載方法にしたんだろう?その根拠は?
という見方をクセづけるようにしていますよ。

ABOUT ME
りりっつ
一姫二太郎もつ昭和最後生まれワーママ。 食品衛生・食品化学で学位をとった修士持ち。 食品表示と食品衛生が得意。工場向け防虫業者→食品メーカー兼卸品証勤務。毎日食品表示法と景品表示法を乗り回し、商標関係も嗜む。