とにかく(魚介類)のアレルギー表示が分かりづらい。
更には、レア表示なのであまりお目にかかれない本表示。
いざ表示を作れと言われると困ってしまうのが世の常。
チルド麺のスープに登場したり、
ふりかけに登場したり、
はたまたスナック菓子に登場したりと、
神出鬼没で出てくる割に、やはり分かりづらい!
百聞は一見に如かず。
私も表示確認・表示作成をする際に欲しい!と思うのは実際の流通品の裏面表示だったりします。
紹介&解説していますよ。
魚醤(魚介類)を始め(魚介類)のアレルギー表示とは
以前も魚醤(魚介類)を始め、
(魚介類)を冠するアレルギー表示は妙ちくりんで分かりにくいよとお話ししていましたね。
アレルギー表示は義務7品目(もうすぐ8品目)と推奨21品目の計28品目。
28品目の中に『魚介類』は組み込まれていません。
では超特殊な(魚介類)表示とは何者か。
(魚介類)に含まれ得るアレルゲンは、
えび、かに、いか、さけ、さば、あわびなど、
28品目中に含まれる「何か」という位置づけです。
ただ、それが特定できない。でもリスクだから知らせねば!
そんな痛し痒しの表示なんですね。
(魚介類)が想定されているのは、
漁法によりどうしても魚介類が分離しきれない状況の原材料を想定されており、
(魚介類)表示はその想定し得る原材料でのみ使用が許可された例外表示なのです。
いずれも、
魚種ごっちゃまぜで捕獲!みたいなシーンで生産される原材料が想定されています。
ちなみに、魚介エキスだからといって必ず魚介エキス(魚介類)表示をせねばならないのかといえば答えはNOで、
魚介エキスでも特定の魚種のみで構成されていると分かり切っているのなら、
(魚介類)表示は不要です。
えび、帆立のみを含んでいるような魚介エキスであれば、
すべきアレルギー表示は『魚介エキス(えびを含む)』になります。
あくまで魚介種の特定が困難である場合のみ、(魚介類)表示。
【事例1】コーンスナックの魚醤(魚介類)表示例
まずスナック菓子の事例です。
こちらの注目ポイントは遺伝子組み換え表示の企業選択もしていますね。
←の箇所がモロ遺伝子組み換え情報に関する表示ですね。
おそらく今までは(遺伝子組み換えでない)と書いていたところでしょうが、
2023年4月以降は混入率0%じゃないと遺伝子組み換えでないと書けませんからね。
さて、肝心の魚醤(魚介類)の表示箇所はこちら。
赤線の箇所に魚醤(魚介類)を含むが登場しています。
(魚介類)のアレルゲン一括表示は、
通常違和感を覚えますが、これが正答。
個人的に不思議だなぁと思ったのが、この部分。
魚介エキスパウダーに(魚介類)表示がないんですよねー。
で、アレルギー表示では魚醤(魚介類)を含む。
魚介エキスパウダーとは別のところに魚醤が含まれてるのかしら?
魚介エキスパウダーは魚介エキスではないから、
魚介エキスパウダー(魚介類)とするのは不適切だった??
結構消費者庁に確認してみると、
解釈の弾力性がなく、「書いてある通りです」って言われてしまうのでそのパターンかな?
【事例2】ポテトチップスの魚醤(魚介類)表示例
お次はポテトチップスの表示。
さっきのコーンスナックの表示はアレルゲン一括表示での表示例でしたが、
こちらはちょっと変わった個別表示。
この表示の意味合いとしては、
複合原材料のかつおエキスパウダーの2次原材料の一つに魚醤が含まれていて、
その魚醤に含まれるアレルゲン魚介類が特定できないといったところ。
こりゃまた直接的に魚醤と表示が出てこないから、
直付けできなかったパターンかしら。
原材料内訳で、魚醤(魚介類)とするのが正答のような気もするけど…。
消費者庁の(魚介類)の個別表示例に「含む」って付されていないから。
正答の根拠はこれ。
(引用:加工食品のアレルギー表示ハンドブック/19P)
あくまでの消費者庁の見解例で、
正解はコレといっている答えの1つであり、
「消費者の分かりやすさの観点から問題ない」と個別で判断されている場合もあるので、
間違いとも言い切れないのが食品表示のもどかしいところ。
食品表示基準やQ&Aから外れたら直ちにNGというわけではないので、
これちょっと違うけどこっちの方が消費者に伝わるよね?と思うものあれば、
管轄の保健所に持ち込みでお墨付き貰っておくと後々楽ちんですよ。
これも、不思議な箇所が。
(魚介類)表示可能対象な魚醬パウダーには(魚介類)ナシ。
純度が高いのかなー。
この表示には王道なコンタミ表示がなされていますね。
あおさだったり、しらすを原料に含んでいる場合によく使われるコンタミ表示例。
(魚介類)アレルギー表示例って探すと無い
私も表示チェックをしているときに、
(魚介類)のアレルギー表示って適切か?って悩むことがあり、
よく大手さんの事例を探したりします。
個人のブログなので、
会社情報を掲載するのは不適切かな?と思い、
製造者や販売者の名前、住所は伏せるようにはしているのですが、
基本当ブログで参考として掲載している表示には大手さんが多く、
中小さんでも『中級食品表示診断士』のりりっつが問題なさそう・美しい表示と判断したもののみ掲載するようにしています。
冒頭でも述べた通り百聞は一見に如かずですから、
よく分からない行政文で長時間頭を悩ませるよりは、
正しいであろう解釈をしている実際の流通品を入手した方が参考になります。
何より、不安あれば表示法違反でいきなり摘発されるより、
日々管轄の保健所さんの教えを仰ぐのをお勧めしていますよ。
いつだって最終判断は現場の保健所なので。