食品業界

食品クレーム対応で失敗しないためのポイント5つ! 現役品証員が解説

食品関連企業で品質保証をしていると、日々「お申し出」を頂戴してしまうのが常。

中には本当にこちらが気付いていない改善点もあれば、
り、、、理不尽!と思う内容まで多岐にわたります。

品質保証や品質管理の仕事をしていて、
出来ればご遠慮願いたい仕事の1つが「クレーム対応」だと思います。

が、

りりっつ
りりっつ
私は結構好きですよ、クレーム対応!

なぜって、対応が上手くいくと深いファンになってもらえるんですよ!

本記事の目的地

食品かは問わず、<クレーム対応に従事している方>に向けて書いています。

  • クレーム対応が苦手な場合の対処法
  • クレーム対応を上手く行うには?
  • お互い気持ちよくクレームを解決するには?

の、これらのコツを書いています。

本記事を書いた人
  • 虫混入の対策と報告書を書いて5年
  • 食品商社・メーカーの品質保証歴6年
  • クレーム対応は、結構好き!
  • クレーム対応後のお客様のファン化が得意

食品のクレーム対応のポイント①クレームを真摯に受け止める

クレーム対応のポイント

クレームは、顧客から企業へのメッセージ。

なぜなら、クレームを出すために「電話をする」「メールをする」「手紙を出す」など、
結構行動を起こさねばならず面倒だから。

それでもわざわざ行動するのだから、
お客様の自社製品への想いは相当なものと言えます。

なのでクレームは「言いがかり」などとはとらえず、
真摯に受け止め、顧客の声に耳を傾けることが大切です。

クレームを正しく真摯に受け止めると、お客様は「企業に自分の意見を大切にしてもらえている!」と感じることができ、満足度が高まります◎

でも、真摯に受け止めるって具体的にどうやって?
困っている人
困っている人
りりっつ
りりっつ
具体的なポイントはさらに3つありますよ
  1. お客様の話に耳を傾ける
    「何が問題だった?」「何を望んでいる?」
  2. 感情的なお客様の感情に流されない
    「お客様に悪意はない」が大前提で聴く
  3. 解決策を探る
    改善報告を求めている?」「単に一言いいたかった?」

各項目の詳細を見ていきましょう。

お客様の話に耳を傾ける

クレーム対応の基本は、「どれだけ相手に話させるか」に尽きます。
なんなら聴く8割、話す2割程度でもいいくらい。

よく話を聞き、
「相手が何を望んでいるのか?」を汲み取り適切な返しをする(改善なのか交換なのかなど)ことが大前提です。

結構、「私の話を聞いてもらいたい」が目的のお客様も多数いらっしゃいます。

自分が聴いているということがしっかり相手に伝わるように、
何も言わないのではなく、相槌やうなづきを声に出して行いましょう。

聴くがほとんどでも、
何の反応もないと聞いているということは伝わりません。

感情的なお客様の感情に流されない

お申し出をされるお客様は、
手に取られた商品に対して何らかの感情で激しく振れているもの。

その感情は人や事例により、「怒り」「失望」「悲しみ」などさまざま。

何らかの感情で心を激しく揺さぶられていなければ、
人はまず行動には移しません。

電話一本メール一通手紙一通するにも、
相当な労力がかかりますから、感情に行動の起爆剤が隠されています。

怒りに任せて一方的にクレームをつけられると、
こちらとしても人間ですから感情的になってしまいそうになりますが、
こちらが感情的になれば「お客様の話に耳を傾ける」ことから遠ざかってしまいます。

感情的に一方的に話されると、相手の悪意を強く汲んでしまいがちですが、
お申し出は「お客様には悪意はない」という前提で、
冷静に対応せねば更なる二次クレームに繋がります。

解決策を探る

感情的にならず、適切にお客様の話を聞くことで、
解決策を探ることができるようになります。

お客様はどんな理由でお申し出され、
終着点としてどんな対応を望んでいるのか?はお客様の話の中にしか存在しません。

「同じ商品との良品交換」
「同等商品の別の商品と交換」
「返金対応」
「原因や改善の報告を求めている」
「直接謝罪に来て欲しい」

「解決策」はケースやお客様によって異なりますから、
適切な解決策を提案するようにしましょう。

食品のクレーム対応のポイント②謝罪する

謝罪する

お申し出を頂戴すると、謝罪はセットになりがち。

けれども、何が何でも謝罪せねばというわけではなく、
本当にこちらに非があってのことなのか分からないこともあります。

そういった場合も含め、
謝罪は「何について」詫びているかは明確にするようにしましょう。

こちらに非がない場合もあるので、
調査前の第一報での謝罪は「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」と、
「ご不快」「ご不便」など、目の前のお客様の「気持ちについて」のみにとどめましょう。

食品のクレーム対応のポイント③原因を究明する

原因を究明する

食品のクレーム対応に当たり、まず検討しなければならない事象は2つ。

  • 単発事故か複数起こり得る事故か
  • 健康被害が起こり得る事故か否か

健康被害が起こらない、かつ、単発事故であれば個別対応でOKですが、
複数起こる場合や健康被害が起こる場合、
もしくはその両者であれば、広範囲の回収が必要となり、
食品衛生法上国に届け出ることが義務付けられています。

令和3年6月1日から、食品等の自主回収を行った場合の届出が義務化されました!

(引用:厚生労働省『自主回収報告制度(リコール)に関する情報』

報告の対象 食品衛生法に違反する、
または食品衛生法違反のおそれがある食品
報告の対象外 食品衛生上の危害が発生する恐れがない場合

食品衛生上の危害とは?

健康被害(食べた人が体調を壊す・怪我をする・最悪の場合なくなることもある)が起こるかどうか。
EX)食中毒菌による汚染、金属ガラスなどの硬質異物の混入など

※同じ異物混入でも、毛髪や虫などは該当せず

国に届け出るべきか否か迷う場合は管轄の保健所に相談して、
指示を仰ぎましょう。
※表示ミスについては表示責任者住所の管轄保健所、製造上のミスは製造所(製造者)の管轄保健所へ

偶発的自己?潜在的リスク事故?
原因究明をして、しっかりお客様に説明。

必要に応じて国への届け出もお忘れなく!

食品のクレーム対応のポイント④再発防止策を講じる

再発防止策を講じる

お申し出を頂戴する裏には、必ずなにか改善すべきポイントがあります。

うっかりミスなら、うっかりミスしないような再発防止策を、
検品漏れなら注意喚起を、
認識不足など従業員教育・従業員間コミュニケーションなどの見直しを。

食品事業者からしたら、
何千、何万…あるいはもっと製造したうちの1ケースかもしれませんが、
お客様にしてみたら手に取った商品が事故品であれば、
100%事故でしかありません。

必ず原因究明により、再発防止策を。

食品のクレーム対応のポイント⑤誠意を持って対応する

誠意を持って対応する

最終的にはここに尽きてくるのですが、「誠意を持って対応する」というのは最低条件。

食品事業者にとっては、「まぁあるあるだよねー」という内容の事故でも、
誠意が見られない場合は最近では瞬く間に炎上してしまいます。

誠心誠意をもって対応していても、相手が悪いと後出しじゃんけんのように炎上する例もあるけども…

誠意をもって接するとはどうやって?とは思いますが、
クレーム対応のポイント①~④を、どんな事象でも愚直に行うっていうのが一番です。

気を付けたい「誠意を見せろ」

ドラマや再現などでガラ悪めのお客さんに「誠意を見せろ!」といわれるシーンが目に浮かびます。
けれども、この「誠意を見せろ!」はクレーム対応時に注意したい言葉。

お客様がいう誠意が金銭への要求に直結している場合、
商品代金よりはるかに高い位置での「誠意」を求められると、
相手をマジのクレーマーにしてしまう恐れがあります。

最初は改善を求めたり話を聞いてほしかったりしただけの善良な「お客様」をクレーマーにしてしまうなんて恐ろしいことです。

あと、「傷ついた心を保証しろ」というものもなかなかヘビー。
こちらで算定できませんから、どうしようもありません。

金銭を要求されるクレームは、社内的に上限いくらまでなら対応できるか明確に線引きをし、それ以上の要求ならば警察や弁護士への相談する時間をもらうようにし、
その場で対応の答えを出すようなことはしないようにしましょう。

食品クレームの対応はスピード勝負

クレーム対応はスピード勝負

食品クレーム対応のポイントは5つ。
食品クレーム対応時には「聴く8割」というのも覚えておきたい数字です。

食品は身近なもので、口にするもののため、
「こんなことで?」というクレームをたくさんちょうだいします。

クッキーが1枚割れているとか、
おまけがなく望んだおまけが欲しいとか、
おいしくなかったとか、
本当に些細な事象でもお申し出を頂戴します。

そして、お客様にとって虫混入は超逆鱗に触れることではあるのですが、
食品衛生上は届け出対象ですらないという食品事業者とお客様の温度差があるので、
そういった部分を納得してもらうためには、
誠意を持って対応するしかないんですよね…。

けれども、クレーム対応は上手くやると、
相手のお客様は自社のファンになってくれることも少なくない仕事なので、
「文句を言われて嫌な気持ちになった」とネガティブな気持ちで対応するよりは、
「いい対応でこのお客さんをファンにしてやろう!」という気持ちで取り組むと、
結構うまくいくことが多いですよ。

ABOUT ME
りりっつ
一姫二太郎もつ昭和最後生まれワーママ。 食品衛生・食品化学で学位をとった修士持ち。 食品表示と食品衛生が得意。工場向け防虫業者→食品メーカー兼卸品証勤務。毎日食品表示法と景品表示法を乗り回し、商標関係も嗜む。