いきなりですが、2023年4月1日から変わる表示ルールをご存知ですか?
これうちもいくつか仕入れ品で”大豆(遺伝子組み換えでない)”的な表示があるものだから、告知せずにはいられないよね。
なんてったってあと半年できっちり新ルールに移行しとかなきゃいけないんで。
この記事を読むと、
が、分かるようになっています。
そもそも遺伝子組み換え表示制度とは何なのか
冒頭でお伝えした通り、来る2023年4月1日から『遺伝子組み換え表示制度』が変わると告知されています。
詳細知りたい場合は消費者庁が発刊しているリーフレットを確認してみると良いです。
が、正直よく分からない…という声も。
遺伝子組み換え表示制度変わるから対応よろしゅうに!
というお知らせをメーカー無選別に入れたら、
「え?うちも対象なんですか?」なんて言う問い合わせが即日響くという事態に。
(ルールとして変わるもんだから、対象内外問わず告知しただけ)
そもそもね、遺伝子組み換え表示制度なんてのは、
遺伝子組み換え原料を使用した時には絶対表示するように!(義務)というものであって、
『遺伝子組み換えでない』なんてアピールするための制度じゃないわけですよ。
遺伝子組み換え食品でも、
ある程度国が安全性を担保できて流通を認めている原材料があって。
この9つの農作物とこれらをメインに原材料とする33の加工品群について、
遺伝子組み換え原料を使用してもいいけれど、
使った場合は必ず遺伝子組み換えって表示するんだよ!
という制度なんですよね。
ちなみに9つの農作物と主な原材料とする33加工品群は下記にて。
対象農産物 | 加工食品 |
---|---|
大豆 (枝豆及び大豆もやしを含む。) |
1 豆腐・油揚げ類 2 凍り豆腐、おから及びゆば 3 納豆 4 豆乳類 5 みそ 6 大豆煮豆 7 大豆缶詰及び大豆瓶詰 8 きなこ 9 大豆いり豆 10 1から9までに掲げるものを主な原材料とするもの 11 調理用の大豆を主な原材料とするもの 12 大豆粉を主な原材料とするもの 13 大豆たんぱくを主な原材料とするもの 14 枝豆を主な原材料とするもの 15 大豆もやしを主な原材料とするもの |
とうもろこし | 1 コーンスナック菓子 2 コーンスターチ 3 ポップコーン 4 冷凍とうもろこし 5 とうもろこし缶詰及びとうもろこし瓶詰 6 コーンフラワーを主な原材料とするもの 7 コーングリッツを主な原材料とするもの(コーンフレークを除く。) 8 調理用のとうもろこしを主な原材料とするもの 9 1から5までに掲げるものを主な原材料とするもの |
ばれいしょ | 1 ポテトスナック菓子 2 乾燥ばれいしょ 3 冷凍ばれいしょ 4 ばれいしょでん粉 5 調理用のばれいしょを主な原材料とするもの 6 1から4までに掲げるものを主な原材料とするもの |
なたね | |
綿実 | |
アルファルファ | アルファルファを主な原材料とするもの |
てん菜 | 調理用のてん菜を主な原材料とするもの |
パパイヤ | パパイヤを主な原材料とするもの |
からしな |
(引用:食品表示基準 別表第十七)
消費者のイメージとかけ離れた「遺伝子組み換えではない」表示
そもそも、なぜ遺伝子組み換え表示制度が見直されたかといえば、安全アピール一貫で利用されている「遺伝子組み換えでない」が消費者がイメージする状態と乖離しているから。
(そもそも遺伝子組み換え技術自体、自然交配で起こりうる変異を人為的に短いサイクルで起こしただけなので、必要以上に怖がるのも?なのだけど)
「遺伝子組み換えでない」と聞いて、
遺伝子組み換え原材料なんてないんだよね?
と多くの人が思うはず。
でも実際は、現行制度では意図せざる混入が5%までは「遺伝子組み換えでない」の表示要件として認めているんですよね。
つまり、MAX5%含まれていたとしても「遺伝子組み換えでない」と言えてしまうわけです。
結構多いと思いませんか。
ちなみに、各国のHP情報から消費者庁がまとめた結果によると、
「遺伝子組み換えでない」と類推される表現ができる意図せざる混入量は、
- 韓国:3%
- オーストラリア・ニュージーランド:1%
- EU:0.9%
(引用:遺伝子組換え表示制度に関する検討会報告書)
諸外国と比較してもやっぱり甘め設定なんですね。
消費者にとって分かりやすくをモットーに設計されているはずの表示基準が、
消費者を勘違いさせる形で常態化していたので、
これはちょっとまずいんじゃないの?ということで改正が入ったわけです。
「遺伝子組み換えでない」表示は絶滅危惧種へ
今回の法改正では、遺伝子組み換えでないと表現するにあたり、
表示要件の難易度が大幅にアップ。
きたきた。0案件。
これホント厳しくて。
普通に遺伝子組み換えが流通している国が産地の場合、
分別管理していようが、ほぼほぼ無理と思った方がいいです。
(コンテナや倉庫をシェアすると意図せざるうちに混入してしまうし、知らんうちに受粉してしまってるなんてことも)
抜き取り検査でわずかでも検出されたらアウトなので。
「意図せざる」でも5%許容しないと難しいんですから、
混入無となると、もう遺伝子組み換えが国を挙げて流通していない産地じゃないと無理です。
だからと言って、分別管理を放棄せよというわけではなく、
分別管理しないならしないで、「不分別」表示が必要です。
これは義務表示です。
まとめると、遺伝子組み換え表示制度において、
- 遺伝子組み換えを認識して使用している場合:遺伝子組み換え
- 遺伝子組み換えを積極的に使用せずとも、分別管理されていない(5%以上の混入が常態化):不分別
これは義務なので、必ず表示が必要です。
では今まで「遺伝子組み換えでない」と表示できていた意図せざる混入が5%以下の原材料たちはどうなるかといえば、
- (分別生産流通管理済み)
- (遺伝子組み換え混入防止管理済)
などと書いても良いそうですが…
えっと…これって意味わかる??な表示になるので、
遺伝子組み換えでない表示から離脱するメーカーさんが多いように思います。
遺伝子組み換えでない表示…どうすれば…?
メーカーさんがすべきことは、
- 自社商品に遺伝子組み換えでないの記載があるか無いか
- 意図せざる混入のレベル感の確認(新しい条件でもクリアしているならそのままでOKなので)
- 遺伝子組み換えでないと書けない場合、わけわからない表示でも少しばかりのアピールに表示スペースを割くのか否かの判断
といったところでしょうか。
従来遺伝子組み換えでないと書いていた原材料で、
もはやアピールになるか怪しい難しい文言をコチャコチャ書くのであれば、
任意表示なのでスッパリ諦めるのも手なのかなと思います。
だって、分別管理していますとか言われても、
ピンとくる消費者の方が少ないのでは?
日常会話にまず出てこないし。
パッケージに書いてある以上、
「これってどういう意味ですか?」の質問は付きまとうだろうし、
都度都度適切に解答できるかって、難易度かなり高いんではなかろうか。