食品関連の個人が取れる資格は多くなく、
食品業界に就職・転職するにあたり、有利に働くものって何なのでしょうか。
本記事では、食品業界で働く希望は持つものの、「現場製造ラインを脱したい」、
食品業界に就職したいけれど、「現場に回されるのはごめんだ」
そういった方向けに、品質管理や品質保証への転職・キャリアップへ役立つ資格、
食品表示検定(主に中級)について資格のメリットと勉強のコツをまとめています。
- 食品表示検定はどんな資格か?(リマインド)
- 食品表示検定にはどんなメリットがあるのか?
- 食品表示検定を受験するにあたっておすすめの勉強法は?
これらを丸っと、食品表示検定・中級一発合格者が解説していますよ。
- 食品品質保証に転職半年、食品表示検定中級一発合格
- 2児の母で勉強時間に限界あり
- 現在では日々食品表示をチェックしている現役食品品証
- 転職でマミートラックからの帰還に成功
食品表示検定とは?概略をざっくり
食品表示検定の概略はこちらの記事に細かく記載しています。
一般社団法人食品表示検定協会が運営する、
食品表示の力量証明の資格の1つです。
初級・中級・上級とあり、
初級・中級については特に受験資格は設けられておらず、
誰でもチャレンジできます。(しかも初級・中級は併願可)
勉強すればするほど沼るのですが、
食品表示は対象の食品により細かく表示方法が異なります。
なので、たとえ現在食品メーカーに勤めていても、
自社の製造品目と異なると、
全く違うルールが存在したりするので、
勉強ナシでは難しいのが実情です。
食品表示検定中級のメリットとは?資格の活かし方
食品表示検定のメリットは6つ!
- 食品の商品企画や品質保証・品質管理などの就職・転職時アピール
- 製造以外で食品業界に深く関わるポジションが得られる
- 小売りの場合でも力仕事以外の役が付きやすい
- 未経験の品目の食品に対応できる(転職時有利)
- 食品系のコンサルタントへの扉も叩きやすい
- 「食品表示検定」をキーワードに希望に近い形の求人票を探しやすい
メリットを1つずつ後述していきます。
食品の商品企画や品質保証・品質管理などの就職・転職時アピール
就職や転職などでのアピールの仕方は食品表示検定を活かせる仕事って? 就活転職に役立つアピールポイントにも事例を記載していますよ。
食品表示法は、毎年何かしか改正が入ります。
なので、私も中級食品表示診断士を持っていますが、
持っているだけでは意味はなく、日々勉強して情報をアップデートしています。
このように、法改正が頻繁なため「現在の正解」を追うだけでも一苦労なのが食品表示というもの。
食品表示の知識が役立つ場面は、ズバリ、表示を作成するとき。
新商品の開発時や法改正への対応のための包材印刷、
お取引先様への自社商品の規格書の提出など、
食品表示を使う機会はかなり多いんですね。
それでいてルールがコロコロ変わるもんだから、
食品企業は表示の使い手が絶対欲しいんです。
食品=ライン工と思ったら大間違い!
製造以外で食品業界に深く関わるポジションが得られる
食品表示の知識が欲しいのは先述の通り「企画」「品質保証」「品質管理」の面々。
知っているに越したことはないけれど、
製造の担い手にはそこまで必要のない資格です。
(基本レシピ通りに製造するのが仕事だからね!)
なので、漠然と「食品業界で働きたい!」けれど「製造は嫌だ!」という希望を叶え得るのが食品表示検定中級レベル。
小売りの場合でも力仕事以外の役が付きやすい
スーパーなどの食品小売りでも、
適正な食品表示の判断ができる証明である食品表示検定では、
単にスーパーのパートをと考えていたレベルの人でも、
商品の仕入れ担当に回れたり、バイヤー的な動きができることも◎
適切に表示がなされていないメーカーに対して改善を促したり、
欠かせないポジションにつける可能性もあります。
また、店内調理の商品に関して(厳密にいれば店内調理の総菜などは密閉容器包装ではないので食品表示の対象外ではあるものの)食品表示を付与する仕事もあり得ます。
これは食品表示の知識がなければ得られない仕事です。
未経験の品目の食品に対応できる(転職時有利)
食品表示基準別表第十九に記載されている食品は、
独自ルールがある食品たち。
- トマト加工品
- ジャム類
- 乾めん類
- 即席めん
- 即席めん類(即席めんのうち生タイプ即席めん以外のものをいう。)
- マカロニ類
- 無菌充填豆腐(食品、添加物等の規格基準第1食品の部D各条の項の豆腐に規定する無菌充填豆腐をいう。)
- 凍り豆腐
- プレスハム、混合プレスハム、ソーセージ及び混合ソーセージ
- 食肉(鳥獣の生肉(骨及び臓器を含む。)に限る。以下この項において同じ。)
- 食肉製品(食品衛生法施行令第十三条に規定するものに限る。以下この表において同じ。)
- 乳
- 乳製品
- 乳又は乳製品を主要原料とする食品
- 鶏の液卵(鶏の殻付き卵から卵殻を取り除いたものをいう。)
- 切り身又はむき身にした魚介類(生かき及びふぐを原材料とするふぐ加工品を除く。)であって、生食用のもの(凍結させたものを除く。)
- 生かき
- ゆでがに
- 魚肉ハム及び魚肉ソーセージ
- 魚肉ハム、魚肉ソーセージ及び特殊包装かまぼこ
- 削りぶし
- うに加工品
- うにあえもの
- ふぐを原材料とするふぐ加工品
- 塩蔵わかめ
- 鯨肉製品
- 食酢
- 風味調味料
- 乾燥スープ
- マーガリン類
- 冷凍食品
- 調理冷凍食品(冷凍フライ類、冷凍しゅうまい、冷凍ぎょうざ、冷凍春巻、冷凍ハンバーグステーキ、冷凍ミートボール、冷凍フィッシュハンバーグ、冷凍フィッシュボール、冷凍米飯類及び冷凍めん類に限る。)
- チルドハンバーグステーキ及びチルドミートボール
- チルドぎょうざ類
- 容器包装詰加圧加熱殺菌食品
- レトルトパウチ食品(植物性たんぱく食品(コンビーフスタイル)を除く。)
- 容器包装に密封された常温で流通する食品(清涼飲料水、食肉製品、鯨肉製品及び魚肉練り製品を除く。)のうち、水素イオン指数が四・六を超え、かつ、水分活性が〇・九四を超え、かつ、その中心部の温度を摂氏百二十度で四分間に満たない条件で加熱殺菌されたものであって、ボツリヌス菌を原因とする食中毒の発生を防止するために摂氏十度以下での保存を要するもの
- 缶詰の食品
- 農産物缶詰及び農産物瓶詰
- 畜産物缶詰及び畜産物瓶詰
- 調理食品缶詰及び調理食品瓶詰
- 水のみを原料とする清涼飲料水
- 果実飲料
- 果実の搾汁又は果実の搾汁を濃縮したものを凍結させたものであって、原料用果汁以外のもの
- 豆乳類
(参考:食品表示基準別表第十九)
なんと45品目。
この品目は、かつて「個別品評」呼ばれる独特の表示ルールがあった食品で、
現在は食品表示基準に個別品評の表示に関わる部分が組み込まれたため、
基本的には義務表示なんですよね。
このほかにも、名称(名乗り)に必要な定義がある品目や、
公正競争規約が表示に絡んでくる食品もあります。
食品表示検定では全部が試験範囲ですから、
どういった食品が特殊表示を要するかなんかも網羅せねばなりません。
特殊表示しなきゃいけない品目であるか否か知っているだけでも、大したものなのです。
なので、食品表示を現職で扱っていたとしても、
例えばお菓子工場に勤める人がいきなり漬物の表示をできるようになるわけではないんですね。
その点、食品表示検定は全品目が試験対象になりますから、
まず特殊表示をする品目なのだなと気づくことができます。
食品系のコンサルタントへの扉も叩きやすい
私は仕事柄、工場監査をする立場上いわゆる「食品衛生コンサルタント」と同行する機会があるのですが、
食品表示検定中級程度を持っていないコンサルタントは皆無でした。
※ちなみに防虫業界出身の「衛生コンサルタント」は、
虫を始めとした異物混入指摘特化のため、食品表示は管轄外のことが多いです。
防虫業者の仕事については下記をご参照ください。
彼らも「衛生コンサルタント」を名乗ることがあります。
食品安全、品質面やマネジメント系に強い「衛生コンサルタント」は大体食品表示検定中級以上は必須です。
「食品表示検定」をキーワードに希望に近い形の求人票を探しやすい
「食品」と求人検索を書けると、
無限に求人が出てきて、その多くは製造や小売り業など。
食品表示検定中級程度を持っていると、
かなりピンポイントで希望の求人を引き当てることができます。
今検索掛けるともっと増えていました。
いずれの求人も、食品工場の「品質管理」「品質保証」や、
百貨店の求人など、食品業界的には華やかな求人票がずらりです。
いかに食品表示検定中級程度の人材が求められているか分かりますね。
食品表示検定を一発で合格したい!勉強のコツを伝授
具体的に私が1発で合格した勉強方法やかかった時間などは、
こちらの記事にもありますよ。
実際に一発合格者だから教えられる、
食品表示検定中級の勉強方法を3パターン紹介しますね。
- テキスト独学(時間かかる)
- 通信講座の利用
- 事前セミナーで過去問ゲット(おすすめ!)
テキスト独学
まず食品表示検定にチャレンジしようと思ったなら、
公式テキストは必ず必要です。(どんな勉強法を選択するにせよ)
2023年4月現在、中級テキストは【改訂8版】が最新。
先述の通り、食品表示のルールは毎年何かしか変わるので注意してください。
食品表示検定の公式テキストは初級・中級と交替で2年に1回くらいのペースで改版されていますが、その時最新版の内容が出題されますから、常に最新版であるかはチェックしましょう。
私が受験した時は問題集など出ていなかったのですが、
今は問題集など公式で出ているのですね。
問題集で、試験の出題形式に慣れる感じですかね。
かなり胆力を要するわね
通信講座の利用
独学では心配だという方は、勉強する環境を整えるのも効果的。
よくわかる 食品表示マスターコースは受講期間2か月なので、
かなり効率よく勉強できるのでは?
「食品表示法」に対応した食品表示の実際を、検定認定テキストを用いて学習する
また、2015年4月に「食品表示法」が施行されました。2022年3月末までの経過措置期間を終え、この法律に従った表示は義務となりました。
この講座では、食品関連会社に勤務する方が、仕事の上で必要な食品表示についての知識、事故を起こさないためのノウハウを学習します。(引用:職業訓練法人日本技能教育開発センターよくわかる 食品表示マスターコース)
このコースでは、上記の公式テキスト代も込み込みです。
という口コミもありますよ。
受講期間2カ月という先が見えているのも魅力的です。
当然講座には合格者の声も反映されていますから、
要点を抑えながら効率的に学習できるというのも良いですね。
ネット環境さえあれば課題ができ、
きちんと課題をこなす過程で必要な知識が身についていくのは、
独学では得られない、「誰かに教えてもらう」ことの強みです。
事前セミナーで過去問ゲット
事前セミナーは確かにお金もかかるのですが、
直前の出題傾向を教えてくれ、体感、セミナー内容の8割ぐらいが出たイメージでした。
何よりも、通常出回らない過去問をゲットできるのは大変おいしい。
自信が合格するために勉強した中で、
実際の過去問で問題傾向を掴むというのが一番役に立ちました。
私は同僚が何度かチャレンジしており、
過去問を複数持っていたので問題傾向など推測したりしましたが、
過去問ナシのノーヒントではかなり難しいのでは?と思います。
食品表示検定は役に立つ!メリットいっぱい
一部の資格口コミサイトでは、「食品表示検定はあまり役に立たない」という酷評もありますが、絶対にそんなことはありません。
事実、「食品表示検定」で求人票などを探してみると、
かなり優良な求人がずらりと出てきます(是非お試しあれ!)。
食品表示自体は、全食品企業が避けては通れない道。
その力量を証明できる食品表示検定は「あったほうがちょっといい」とかそんなレベルではなく、自分がなりたい仕事に近づくためにはかなり有力な資格です。
実際、食品企業では社員の本資格の取得の目標数を挙げているところもあり、
会社のお金でチャレンジし得るのも嬉しいところ。
そして合格した暁には名刺にも記載できますし、
今食品表示検定を持っていなくても、「入社後是非チャレンジしたい!」という姿勢を見せるとかなり好評価も得られますよ。
また、裏技ではあるのですが、
表示検定中級資格を掲げて、スキルマーケットで受注して副業化することも可能です。
(表示検定中級持ってますを掲げているだけで、3度ほど見積もり依頼あったりしました)